産業革命以降に急激に発展した世界経済は 歯止めが利かないまま成長し続けた 森林は伐採され、山はさら地に 魔天楼がごとく建てられたビル群は地上を侵し 工場から吐き出される汚水や排気ガスは空と海を侵した 環境など二の次で生産性や利便性 合理的な考え方でその他を淘汰する強引なまでの経済成長 潤沢に生産され続ける製品は 人々を幸福にすると同時に不幸にしていった その結果 山は空は海は灰色の暗雲に包まれて 日の光がないことが当然となり 人々の間には現代以上の格差が生まれた 富める者は貪欲に悦楽を貪り 貧困に苦しむ者は生にしがみ付く 『疑心暗鬼に猜疑心、互いに互いを探り合い、殺し殺され腐って消える』 そう この世界は血と硝煙に満ちた灰色の世界 邪魔者は排除し、強いものが生き残る弱肉強食 その牙と爪、銃と剣となるべく生まれ、成長し続けた暗殺者達 この世界で 血が流れぬ日など一日たりとて存在しない 生き残りたければ、騙して奪って殺せ……… そんな世界に生まれ堕ち 互いの立ち位置に、存在に苦悩する青年と少女 青年は彼女を必要とし 少女は青年を必要とする 二人の運命が再び交差するとき、物語は幕を開ける そう、終わりの始まりが |